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珈琲G党のガナーズブログ

基本はアーセナルの試合や移籍ニュースについて語るブログです。たまにCLやラ・リーガ、プレミアの注目カードについて語ることもあります。サッカー変態です。

【マッチレビュー】アーセナル対バーンリー~対照的な戦術~

 4戦連続ドローでしかも内容が内容でモヤモヤしている中みなさんこんにちわ。いつの間にかサカが欠かせない存在でいないとかなりつらくなっていたよね。アーセナル対バーンリーはスコアレスドローで終わったわけですが、

・試合概要

アーセナル0-0バーンリー(H)

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・得点

・途中交代

アーセナル

45分トレイラinサカout 63分ウィロックinエジルout 89分エンケティアinラカゼットout

バーンリー

 

・ビルドアップの左右の使い分け

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左:ベジェリン右CB 右:ジャカ左CB

 今節は普段のジャカ左CBとベジェリン右CBの使い分けでした。バーンリーは4-4-2で前からプレスをかけてきたので疑似3バック化することで数的優位を作れます。数的優位を作り出すことでジャカのプレス耐性の低さが露呈しなくなり、ダビドルイスにもプレッシャーが集中しにくくなるのもメリットでしょう。そして、この試合良かったのはムスタフィです。ベジェリンが右CBがの位置に来る形ではムスタフィが3バックの真ん中に来るのですが、ジャカ左CB時の右CBの位置同様縦パスを通す意識にはなかなかのものがありました。特に今節のバーンリーは4-4-2のダブルボランチアーセナルのダブルボランチに密着する形でかなり低い位置までついてきており、SHより高い位置に継続的にとどまる時間もありました。ですがそこまで密着すると今度はその背後が空きます。そこをうまく使えたのがファーストチャンスのシーン。

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 前に出てくる相手のダブルボランチの裏のスペースにムスタフィがパスを通し、エジルが前を向いて受けドリブルを開始、サイドに流れるオーバメヤンへのスルーパスオーバメヤンがクロスを入れラカゼットのヘッド。惜しくも決まりませんでしたが形としてはかなり良かったです。その後もボランチの裏のスペースでエジルが受ける形はあり、前を向ければチャンスになっていました。ですが、次第に相手CBが前に出てきて対応するようになります。そうする前半は次第にエジルのポジショニングも下がっていき、前線が機能不全に近いような形になっていました。

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 また、ダビドルイスのロングフィードからオーバメヤンが抜け出したシーンとジャカの浮き球パスに抜け出したシーンはビッグチャンスでした。前者はオーバメヤンがバランスを崩し、後者はポープの好判断に阻まれましたが決定機と言えるでしょう。

・サカの存在とヤンガナの明暗

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 また、この試合の前半はサカの存在が大きかったです。サカがSBをやり始めて当初はポジショニングの低さとクロスの精度がかなり気になりましたが今ではかなり改善されています。そこに元がWGなだけあってドリブルも上手く、大外のレーンの攻略にかなり重要な存在と言えます。一枚はがして、2人目をはがすところでファールを貰ったシーンなんかは印象的でした。また、前半のオーバメヤンと後半左にいた時のオーバメヤン、マルティネッリの立ち位置からもサカの重要性はわかります。

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左:サカがいる時 右:サカがいない時

 サカが大外のレーンで高い位置を取り、そこから仕掛けることで、オーバメヤンはハーフスペースからエリア内に向かっていき、受け手側として仕事をすることができました。ですが、前半にも足を痛めた素振りのあったサカに代わりトレイラが入るとジャカが左SBの位置に移ります。ビルドアップ時のジャカの役割は変わりませんが、大外のレーンの高い位置で仕掛ける選手がいなくなったことでオーバメヤンがそれをやる羽目になり、受け手が減るという現象が起きています。右サイドに移った時のオーバメヤンやマルティネッリもこの現象が起き、真価を発揮できずに苦しみます。クリスタルパレス戦のように一時的にならマルティネッリの右もいいですが、試合を通してとなるとオーバメヤンやマルティネッリの右サイド起用は機能しないでしょう。
 そして、この試合でもがき苦しんだのはゲンドゥージとエジルとの交代で入ったウィロックです。特にゲンドゥージはアルテタ政権になり序列を落とした理由が今節のパフォーマンスに詰まってるように見えました。

 ゲンドゥージはボールを引き出すまではいいのですが、そこから持ちすぎてロストするシーンや、前に出せるのに横パスばかりで速攻を仕掛けたい時に攻撃を停滞させてしまっていました。シンプルにはたいて欲しい所で持ちすぎてボールを失いピンチを招くシーンは少し頂けません。この試合良いところもありました。良かったシーンはどれもシンプルに前に出せていましたのでその回数を増やせればいいと思いますがね。

 ウィロックもカウンターの際すぐ仕掛けてほしいのに攻撃を停滞させたりパスコースがあるのに出さないシーンはありました。しかし、ウィロックは途中出場ながら、チームトップタイのドリブル成功数を記録していましたし、自分でいく意識はウィロックの持ち味だと思いますね。

・バーンリーの機能した戦術

 バーンリーの戦術はいわゆる、「キック&ラッシュ」と言われる古典的なイングランドスタイルのロングボール戦術とアーリークロスがメインでした。アバウトな戦術に見えて選手の適性を吟味したうえでかなり理にかなった戦術でした。

1.ロングボールを入れる

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 まずは最終ラインからフィジカルが武器の2トップへのロングボールを入れます。ここで収まればSHらとの連携から展開していきます。ダビドルイスとムスタフィはクロスを弾き返すのは上手いですが、この位置関係だと厳しいものがありました。また、この戦術の前提としてロングボールは裏へのパスではなくCFに当てて落としたり収めるボールが前提でした。

2.セカンドボールの回収

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 きれいに収まらなくてもセカンドボールの回収にボランチやSHが動き、そこから攻めを展開します。このパターンの際はここからSHが仕掛けアーリークロスを入れるシンが多かったです。

3.拾えなくても即時奪回

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 仮にこぼれ球を奪われても、セカンドボールを狙っていた選手がアーセナルの選手へのプレスにシフトしてそこから狙う、と言った三段構えの戦術でした。そこからサイドに展開してのアーリークロスが多かったです。

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これこそ決定機

 ロングパスでのサイドチェンジからテイラー→マクニールとつなぎマクニールのクロスにヘンドリックが走りこんでヘッド。ジャカが寄せていたためコースがずれましたが、サイドに振られてからのクロスと上手くしてやられた形でした。

・総括

 この試合は内容がアルテタ政権下最悪と言ってもいい試合でした。バーンリーの術中にはまって苦手なことを強いられた印象でした。それと同時にスタメンとベンチで明確な差がありそこに苦しんだ印象もありました。また、選手の適性の偏りから配置にも悩むでしょう。オーバメヤンもマルティネッリも左サイドでサカがいればハーフスペースから侵入していく役割でエリア内で仕事をする際にはスーパーな活躍をするのですが、大外のレーンで出し手側の役割をする時には2人とも見てても「これじゃない感」がありました。サカがいればサカが大外のレーンでWGのような動きをするため2人はストライカーとしての動きができていました。しかし、右サイドではWGが大外に張りベジェリンがハーフスペースに走りこむ形が多かったです。

 また、こういった試合ではペペの必要性も感じますね。ペペがいると少し厳しくても出しどころとして安定しますし、そこから1枚はがせるのと、中に切り込んでも縦の突破でも仕事をできるのは大きいです。ネルソンもこの役割ができるのと、右サイドだとマルティネッリはどこか窮屈そうにプレーしていたため右サイドのチョイスはペペ、ネルソンの序列でしょう。

 サカの怪我が軽傷であることを願うばかりです。それと、ラカゼットはチャンスは増えてるから早い所ゴールを決めてほしいですね。

・最後に

 モヤモヤを残したままウィンターブレイクに突入となりましたが、アルテタにはこのウィンターブレイクで戦術の浸透とオプションを増やしてきてほしいですね。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。ウィンターブレイク中にも1本上げるので楽しみにしていてください。そして、拡散や感想、反論等はお待ちしておりますのでどしどしください。

【マッチレビュー】FA杯4回戦アーセナル対ボーンマス~ヤンガナの躍動~

 みなさんおはこんばんにちわ、こーひーです。今日はFA杯4回戦ボーンマス戦の分析をしていきましょう。

・試合概要

アーセナル2-1ボーンマス(H)

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・得点

5分サカ1-0

26分エンケティア2-0

94分2-1サリッジ

・途中交代

アーセナル

62分ホールディングinムスタフィout 69分セバージョスinペペout 92分ナイルズinウィロックout

ボーンマス

76分C.ウィルソンinH.ウィルソンout フランシスinシンプソンout 89分サリッジinソランケout

・ビルドアップの引き出し

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左:サカ左CBの右肩上がり3-3-4 右:ジャカ左CBの3-3-4

 この試合ではジャカが左CBの位置に落ちてビルドアップに加わる見慣れた形に加えて、サカが低い位置に位置取りして右肩上がりの3-3-4になる形と使い分けていました。この配置のメリットは単純に引き出しが増え、相手がどこについていくのかで迷いを生じさせられる点です。直近の数試合のアーセナルのビルドアップが少し詰まっていたのは可変の引き出しが少ないゆえに相手もどう守ればが明確になってきて前からプレスをかけやすくなっていたという側面もあります。もう一つの理由はこの形を採用すれば右SBが外のレーンに位置取りしやすくなります。ジャカが下りる形だと普段はナイルズが絞って3-2のビルドアップをしていました。しかし、ベジェリンの長所はスピードを生かしたオーバーラップとシンプルなカバー範囲の広さにあると思います。ですので、サカが後ろのビルドアップに加わると3-2+1のビルドアップの形で必要以上にパスがらみの能力は求められません。

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 また、この日は最終ラインからの対角線のパスとハーフスペースへ降りてきた選手への縦パスが有効的でした。この日のボーンマスはゲンドゥージへのパスコースをかなり意図的に封じ、4人でゲンドゥージを囲むような形でスライドしていました。ジャカの縦パスや対角線へのパスは以前(アルテタ就任直後)から見られていたのですが、ムスタフィもブレイズ戦同様の縦パスに加え対角線の長いパスも出せていました。空中戦も強いし、毎試合このようなパフォーマンスなら文句なしのレギュラーなんですけどね(あとはチェルシー戦みたいなやらかしをなくしてくれればですが)。ここに出場停止からダビドルイスが戻ってくれば最終ラインからの長短のパスはかなり活かせる...と思った矢先のムスタフィの負傷...大きなけがじゃないことを祈るばかりです。

・ヤングガナーズの躍動

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 この日トップ下に起用されたウィロックはエジルの代役になりえることを証明しました。ヒートマップを見てわかるように普段のエジルと同じように右ハーフスペースでアタッキングサードで攻撃を加速させる役割でした。先制点の起点のシーンもそうですし、他のシーンでも受けたと同時のターンで相手を置き去りにするプレーはウィロックの大きな武器になるでしょう。また、守備時のタスクもインターセプト3回タックル2回と優秀にこなしていました。後述のセバージョスとの大きな差はポジショニングでしょう。ヒートマップで分かるようにエジル同様高い位置に残ることでパスコースをつぶさず、後方のビルドアップを助けていました。

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 2点目のシーンも素晴らしい連携でした。ムスタフィが3バック化の右から持ち上がり、CBを引き連れ降りてきたエンケティアが落とし、ウィロックが大外を駆けあがっていたサカにサイドチェンジ、サカのクロスをエンケティアが押し込んでゴール。

 この時ウィロックの視野の広さとマルティネッリが最終ラインを押し下げてマイナスへのコースを確保する動きもですが、注目すべきはエンケティアのエリア内への侵入の動きです。降りてきてポストプレーをした際CBの1人がつり出され、もう1人はそのスペースを埋めるため中に絞ります。そしてエンケティアからウィロック→サカとボールが渡る中でDFの視野は左サイドに移ります。その中エンケティアは再び動き出し、相手の背中側からエリア内に侵入しほとんどフリーでゴールを決めています。

・アルテタの試合の終わらせ方

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 セバージョス投入直後はセバージョストップ下ウィロック右の4-2-3-1でしたが、80分前後から中盤3センターの5-3-2のような形になっていました。

 見直してみるとたしかにアルテタが手で5と指示したあたりからアーセナルも5バックに変化していました。最初見ているときはこのサインの後からボーンマスが3-5-2のようになっていたのでその指示かと思いましたが、自チームへのフォーメーションの変化の指示の可能性もあります。

 自分で見ている時はセバージョスの下りてき過ぎの手癖の問題による偶発的なものかと思いましたが、たしかにそれにしては降りてき過ぎでしたし、アルテタの指示だとしたら納得できます。

・最後に

 久しぶりの勝利でしたし、若手の躍動、新たな戦術の引き出しとかなりポジティブな面の多い試合となりました。最近のアーセナルは試合を優位に進めていてもペースを終盤に握れず追いつかれてしまう試合が多かったので、試合終盤の5-3-2はかなり有効だと思います。

 そして、記事には書ききれませんでしたがサカの1G1Aの活躍はセンセーショナルでしたし、なによりSBとしての成長が著しいです。最初は守備能力やポジショニングに難ありな感じでしたが今ではポジショニングもいいですし、守備時のリスク管理で不安なところはありますが、対人でも改善してきていますし、クルザワを獲得する必要性を感じさせないパフォーマンスを披露しています。

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 そして、試合をコントロールできている時間が徐々に長くなっているのもポジティブな材料です。

・追記:トップ下セバージョスの強みと課題

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左:強み 右:課題

 セバージョスは足元の技術やパスセンスは素晴らしいものを持っています。現に久しぶりの出場となったこの試合でもサカに2本ほれぼれする様なスルーパスを通していました。

 一方、ボールを受けに降りてき過ぎる傾向があります。これにより、ビルドアップ時に前線の枚数不足を招きます。

あとがき

 テストの日程も終わりついに春休みに突入した中の人。そして、プレミアリーグは変則的なウィンターブレイクがあるので、その期間に考察記事みたいなのを書く予定でいます。とりあえず、タイトルは...まぁ、まだ内緒にしておきましょう。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。皆さんの拡散が力ですし、引RTで褒められたりするとめっちゃうれしいです。「良いな」とか「参考になった」または、「〇〇はこうじゃないか」といった意見もあればどしどしお願いします。では、次はバーンリー戦のマッチレビューを楽しみにしていてください。

【マッチレビュー】アーセナル対チェルシー 意地と底力のドロー

 テスト勉強やばいですが、レポートも片付けて記事を書く時間も作れました~

というわけで、ビックロンドンダービーの分析です。

・試合概要

アーセナル2-2チェルシー(H)

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・得点

28分0-1ジョルジーニョ(PK)

63分マルティネッリ1-1

84分1-2アスピリクエタ

87分ベジェリン2-2

・途中交代

アーセナル

55分ゲンドゥージinエジルout 81分ホールディングinペペout 91分ウィロックinマルティネッリout

チェルシー

66分バークリーinコヴァチッチout 69分マウントinカンテout 79分バチュアイinウィリアンout

・普段と異なるメカニズム

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 これまでのアーセナルの代名詞の一つになりつつあったジャカの左CB化がこの試合ダビドルイスが退場するまでの間おそらく一度も見られませんでした。理由としてはおそらくチェルシーの4-3-3に対してビルドアップ時3-3-4(3-2-5)の形でアーセナルの後方からのビルドアップが数的同数以上ではめられるのを嫌ってのことでしょう。ですが、この試合序盤ベジェリンは久しぶりの出場という事もあってか低い位置でのプレーが多くを占めます。このせいかCB→ベジェリンのところでプレスをはめられて長いボールを蹴らされるシーンがありました。

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 次にエジルのポジショニングも普段とは異なるものでした。普段は右のハーフスペースや中央のレーンからパスで味方の攻撃を操ったり近い距離の連携からの崩していましたが、この試合で11人の間はボール保持時は中央付近にあまりとどまらず右の大外のレーンに流れて時折ペペとポジションを入れ替え右のハーフスペースに顔を出すくらいだった感じです。これは中央付近にとどまるとジョルジーニョはじめマンマークに付かれることを嫌ってのことでしょう。

・左サイドの攻防

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 左サイドのサカ‐マルティネッリの連携は試合を追うごとに精度を高めています。特にこの形の縦関係からマルティネッリやさらにここからサカに出してからのクロスは通ればチャンスになる形でした。

 

・10人での守備

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 ラカゼットがボールを追い、サイドは両WGが見る形でジョルジーニョにパスを出したところにトレイラが当たりあわやと言ったところでした。他にも、ラカゼットがプレスのスイッチ役になり連動してサイドからも寄せていきトレイラがボールの出た先に潰しに行く形で前からアグレッシブに行けるようになりました。

f:id:coffee20001113:20200122105142j:plain 自陣に引いて守る際はコンパクトな4-4-1を形成し、ハーフスペースに走りこむ選手に対しては両SHや同サイドのダブルボランチがついていく形で対応し、クロスはじき返す形で対応してました。2失点目のシーンはアスピリクエタが上手く死角から入ってきて決めた形で相手を褒めるしかないでしょう。しかし、それ以外ではよく守っていた印象です。

・マルティネッリ

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 同点弾のマルティネッリ独走弾。これはお見事の一言です。

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 試合通じてよかった点は図のような1人で2人抑えるようなカバーシャドウ(コースカットプレス)をできるようになっている点ですね。エメリ政権末期、ユングベリ暫定監督下ではただ一人走れていた選手ですが、無駄走りもありましたが、今は効果的な走りができるようになっている印象です。それでいて両チームトップの26回のスプリントを記録しているのは彼の長所でしょう。ちなみにペペのプレスも改善しているためこれはアルテタ監督が上手く仕込んでいるのでしょう。

・試合まとめ

 この試合はできれば勝ち点3をもぎ取り一気に差を詰めたいところでしたが、そうは問屋が卸さないという所か様々な不運に見舞われてしまいますが、底力を見せ数的不利の中勝ち点1を確保できたのは大きいでしょう。それに、試合の終わり方としてはアーセナルは勝ち点1を確保したのと、内容でも前からプレスに行けていてアグレッシブさも目立つポジティブな終わり方でしたがチェルシーからしたら結果も後を引きそうな終わり方ですし内容でも守り方等に粗がありどうなるかわからないのが現状です。

・移籍市場

 クルザワが夏にフリーで来るとかですが、ここ数試合のサカのプレーを見ているとポジショニングや守備の判断、クロスの精度には改善の余地がありますが、育てれば良いSBになる可能性も秘めていますし、高給で怪我が多くて上がったら戻ってこないクルザワは正直いらない気がします。

 喫緊の補強として必要なのはCBでしょう。現状ボールを出せるCBがダビドルイスしかおらず、どの試合でもダビドルイスにはプレッシャーを強めもう一人に持たせるシーンが多くあります。ブレイズ戦のパフォーマンスをムスタフィが毎試合できればいいのですが、それが不可能なことが証明されてしまいました。パスが出せるCBで比較的安価で獲得できる今名前が挙がってる中ではボアテングが獲得できればいいと思います。

・最後に

 ジェットコースターのような試合でしたね。しかし、分析としては今回は書いてていまいち手ごたえがありませんでした...スランプですかね。そんな私とこのブログですが、皆さんの拡散が力ですし、感想やアクセス数も多きなモチベーションですのでどしどし待っています。

 次は1月27日のFA杯4回戦ボーンマス戦の後の分析でお会いしましょう。

 

【マッチレビュー】アーセナル対シェフィールド・ユナイテッド 内容充実されど勝ち点伸びず

 レポートを急いで書いてマッチレビューを書く時間を何とかして作れました(笑)あと、ひらがなにすると伸びるらしいからTwitterの名前ひらがなにしてみました(笑)というわけでシェフィールド・ユナイテッド(以下ブレイズ)戦の分析やっていきましょう。

・試合概要

(H)アーセナル1-1シェフィールド・ユナイテッド

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・得点

45分マルティネッリ1-0

83分1-1フレック

・途中交代

アーセナル

74分エンケティアinラカゼットout

ブレイズ

56分シャープinムセout 67分ロビンソンinランドストラムout 76分ベシッチinバシャムout

・ブレイズの狙い

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 ブレイズは守備時は5-3-2で守り、特に前の3-2が中央を封鎖していました。この3-2で中央に蓋をされたアーセナルはビルドアップを阻害されてショートパスで前へ運べず長いボールを蹴らされたり無理な縦パスを通そうとしてひっかけてしまいそこからカウンターを浴びる展開でかなり苦しい前半を過ごしました。ブレイズの攻めはシンプルで奪ったらサイドを駆け上がってクロスを入れるという形でした。その証拠にこの試合のクロス本数上位3選手はいずれもブレイズの選手でした。ですが、アーセナルの2CBは空中戦の強さには定評があり、ここ弾き返していました。

・ボール保持時3-3-4

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いつもの攻め込んだ際3-2-5ではなく3-3-4

 そこでアーセナルはボールを持ち、攻め込んだ際にはいつものようにジャカが左CBの位置に落ち、3バック化する手法を用います。ですが今節は少しメカニズムが異なりました。普段はコラシナツが相手の最終ラインやライン間(MFとDFラインの間)に位置取り3-2-5のような形で5レーンを埋める形でダビドルイスやジャカからのロングフィードを引き出していました。ですが、この試合サカは7そこまで大胆なポジショニングではなくサイドに張ってもMFの手前に位置取り3-3-4のような形を取っていました。これがアルテタの指示なのかサカがコラシナツほど高い位置を取る勇気がなかったのかはわかりませんが、後方で数的優位を保てるようになりました。また、マルティネッリ都の縦関係には可能性を感じるものがありました。

 また、この日はエジルが頻繁に左のハーフスペースに顔を出しサカ、マルティネッリとトライアングルを形成し、逆にラカゼットがビルドアップ時右よりで低い位置まで降りてくるシーンが目立ちました。12分の右サイドでラカゼットが下りてきてペペが裏に飛び出してチャンスになったシーンのように機能していたのは評価できます

 しかし、やはりサカがライン間で受けてくれればという感じだったところで先制点が良い形で生まれます。

・先制点f:id:coffee20001113:20200119100644j:plain

 先制点のシーンはサカが高い位置で持ったところからエジルに預けエジルとラカゼットのワンツーでエジルのスルーを受けたサカのクロスがディフレクションをしたところにマルティネッリが上手く詰めてゴール。ウェストハム戦もそうですがこれは天性の嗅覚というべきでしょうか。しかし、その前のエジルとラカゼットのワンツーのように近い距離で連携を取れるとよりエジルのアイディアが生かせますね。

 しかし注目すべきはその前段階。なかなかショートパスの連携で崩せない中、先制点の少し前あたりからブロックの外で回しながらエジルやラカゼットへの楔のパスを狙い、ロストしても即時奪回し、ボール保持に繋げていました。ブロックの外で回してるだけじゃ意味ないじゃんと思う方もいるかもしれませんがサカがMFの手前で受けるだけではその通りかもしれません。ですが、そこからドリブルで仕掛けたりライン間で受けるようになったことで中盤3枚の間が空くようになり、5-3-2のブロックの中にパスを通しやすくなりました。その後の即時奪回はアーセナルの今のモチベーションを表しているような感じです。

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・後半になり改善した点と課題

 前半も後半もブレイズは5-3-2でしっかり守り、特に後半はジャカとダビドルイスがボールを持つとプレッシャーが増しました。一方ムスタフィがボールを持った際はある程度の持ち上がりを許したことからチームの約束事としてジャカ、ルイスは自由にさせないということがあったのでしょう。アーセナルのボールの供給源を理解した良い作戦だったと言えます。結果アーセナルは5-3-2で中央を封鎖されビルドアップを阻害され、効果鉄器な縦パスの供給源も封じられたことで苦し紛れのパスを出し、インターセプトされ危険なシーンが見受けられました。

 しかし、この日はムスタフィが一味違いました。空中戦では安定した強さを披露し、ミスも前半に1回あった位かなというくらいに安定しており、なによりえぐいくらいにきれいなサイドチェンジや縦パスを披露していました(毎試合これくらいのパフォーマンスを見せてくれるならレギュラーになれると思うんですけどね...)。後半はショートパスに固執せず意図あるロングボールも使えていたことにより前半よりアーセナルのペースで試合を運べたように映りました。また、ブレイズがリードされて前からプレスに行かなければならない状況になったこともアーセナルに有利に働いたでしょう。

 しかし、この押し込んでる時間帯に追加点を奪えなかったアーセナルはラカゼットが退いてエンケティアを投入したあたりから風向きが変わります。近い時間帯にブレイズも選手交代をし4-3-1-2に変更していたようにも見えました。これもブレイズ側に傾いた理由でしょう。トレイラが蹴りだしたボールが相手に当たり自陣で相手にボールを渡した形になり、慌ててトレイラが飛び出すもかわされ、そのあとのスライドも追いつかずクロスを上げられ、最後はフレックが難しいボレーを決めて同点としてしまいます。

アーセナルのこれからの課題

エジルまでボールを繋げない時どうするか

 前半途中までがそうだったようにエジルにボールを繋げないと中々攻撃の幅が広がらないが、その後の時間は先制点や点にはつながらなかったもののマルティネッリへのスルーパスなどアタッキングサードでのクリエイティビティやパスセンスでは頭一つ抜けておりエジルバイタルエリアでボールを受けると期待感が違います。ですので、エジルに繋ぐための引き出しを増やすか、それ以外のアタッキングサードでの崩しのバリエーションを増やすなどが必要でしょう。

・自分たちの時間帯に追加点を奪えない

 勝ちきれない原因の大部分を占めていますね。こればかりは個人の技量や戦術の練度にかかってくるでしょう。形はいろいろ作れているので最後の一押しが必要なのが現状です。

・有効な交代策が打てない

 これはアルテタの問題というよりアーセナルスカッドの問題でしょう。この試合交代カードを一つしか切っていません。ですが、〇保監督と同じじゃないかと言ってはいけません。あっちは打てる策があるのに打たないのであって、こちらは打てる策がないのが現実です。同点にされる直前ゲンドゥージが準備をしていましたが同点にされこの交代カードは切られませんでした。ゲンドゥージは人に強く行けるのと走れるので試合を終わらせるために投入したかってのでしょう。また、エンケティアが悪いわけではありませんがその交代からプレスが聞きにくいのも事実です。ラカゼットエジルトレイラジャカダビドルイスとフィールドプレイヤーでセンターラインが替えの効かない存在でベンチに代わりになれる選手がいないので結果交代しないという策になってしまいます。

・最後に

 アルテタ就任後公式戦2勝1敗3分と思うように行きませんが内容は明らかに向上しています。ですので長い目で見ていきたいですね。いずれ結果はついてくると思っています。(あとは我々FAに嫌われてませんかね)

・雑記

 ここからは試合とは関係なくTwitterで先日見かけた記事に関して思うところがあったので戦術どうのこうのと言ったところの自分の考えを書いていきます。

 自分は今までゴールとかエジルがボール持った時とか局面的にしか楽しめてませんでした。そりゃあ戦術とか知らなかったら後方ンビルドアップの時間とかは魅力に欠けるでしょう。ですが、戦術を知ると90分フルで楽しめます。それはピッチで起きてることがどうしてそうなるのかに理由づけができるからだと思います。現地ではそんな小難しい言葉が使われていないとありましたが、向こうは文化に根差しており経験と肌感覚でどうすればいいかが見えているのと現地のスタジアムなどで熱狂しながら見ていれば90分熱狂できるでしょう。以前読んだウルトラスの体験記の記事を読んでいてもスタジアムと一体になり熱狂しているのが伝わりました。ああいう楽しみ方も一つですし素直に憧れました。

その記事のリンクを貼っておきますので良ければ読んでみてください。全5回の連載 夢中に読んでました↓

https://number.bunshun.jp/articles/-/842066

 現地では昔からわかっていたとしても、それを言語化することで今までその世界に踏み込んでなかった人も勉強できるのが戦術の言語化のメリットだと思っています。

 今日は長々とお付き合いいただいきありがとうございました。次はビックロンドンダービーのマッチレビューでお会いしましょう。この記事は皆さんの拡散や口コミが大きな力であり、中の人のモチベーションにもつながるので拡散や感想楽しみにしています。

【マッチレビュー】アーセナル対クリスタル・パレス なぜ勝てない...機能した面と課題

 今日の試合もいい感じに進めてたのにどうしてこう不運に見舞われるんでしょうね...というわけで上手くいった点、課題を中心に分析して行きましょう。

・試合概要

アーセナル1-1クリスタル・パレス(H)

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・得点

12分オーバメヤン1-0

54分1-1アイェウ

・途中交代

アーセナル

45分グエンドゥジinトレイラout 70分マルティネッリinエジルout 92分ネルソンinラカゼットout

クリスタル・パレス

68分トスンinマイヤーout 

・機能した攻撃

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 ビルドアップ時3バック化したところからのダビドルイスの縦パスを入れた所からエジル→ラカゼットと近い距離でのパスから斜めに走りこんだオーバメヤンが抜け出しあっけなく先制ゴール。3バック化したことによりダビドルイスにかかるプレッシャーが分散し、持ち上がりやすくなり、先制点の起点のようなパスが出せるようになりました。

 そして、FA杯の後半開始直後同様にラカゼットが下りてきて空いたスペースにWGが斜めに走りこむ形も再現性を持たせれば武器になります。スペースを作る側と使う側がしっかりしてくればポジションチェンジにも法則性ができ効果的な動きをとることが可能になります。また、ラカゼットが下りてくることによってエジルとのプレー距離が近づくことでエジルもプレーしやすくなったように感じました。

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 ビルドアップのスタート時はジャカが左CBの位置に落ち、ナイルズが偽SBで中に絞り3-3-3-1のような形でスタートし、敵陣まで押し込んだら3バックとトレイラ、ナイルズで3-2の形を維持しつつ、コラシナツがオーバーラップし、左右の大外はコラシナツとぺぺ、ハーフスペースにはオーバメヤンエジルが侵入し、中央にはラカゼットが位置し、5レーンを埋める形で位置し、3-2-5のような形を取っていました。3バックの中央の位置のダビドルイスから裏抜けを狙うオーバメヤンやコラシナツへのロングフィード1本でチャンスに繋げていました。

・機能した守備

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 エジルが中盤とのコースを、ラカゼットがCB間を切りながら、WGがSBへのコースを切りながらプレスをかけていき、スペースと時間を奪い、無策なロングボールを蹴らせ、回収し、ポゼッションに繋げていく形でした。そして、パレスの攻撃の核ともいえるザハにはナイルズが対峙し、トレイラやソクラティスと連携しながら時には1対1でザハに前半は決定的な仕事をさせませんでした。

・狂った歯車

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 後半の頭からトレイラに代えてグエンドゥジを投入。おそらく前半に見舞われたアクシデントによる負傷が原因でしょう。しかし、前半途中からパレスのプレスの強度が高まり、思うようにボールを繋げなくなり、苦しい展開になります。どうしても、ダブルボランチが厳しいプレッシャーにさらされ、エジルにいい形でボールを繋げなくなると試合のイニシアチブを握れなくなるのが課題でしょう。これはリーズ戦の前半にも共通して言えることでした。

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 また、トレイラがやっていた役割をグエンドゥジがこなせず、更にボールがつながらなくなります。

トレイラに有ってグエンドゥジに無いもの

・守備意識と強度

 フィルター役としての機能

・シンプルにはたく能力

 上の図のようにトレイラは最終ラインの前に顔を出し1タッチで繋ぎ相手のプレスを回避したりスライドが追い付く前に前に運べていましたが、グエンドゥジは受けた際1タッチ2タッチ余分なタッチ数があり、プレスをはがせなかったのも後半にペースを握れなかった原因の1つでしょう。

・スペース管理能力

自分が守るスペースを放棄して前に行ってしまうのもグエンドゥジの欠点です。

 

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 オーバメヤンが退場し10人になってしまいさらに状況が悪化します。ここでエジルを下げ、マルティネッリを投入します。最初は左マルティネッリの右ペペかと思いましたが左ペペ右マルティネッリでした。ペペのニアゾーンランなど、この配置にした効果は出ていました。この後にもラカゼットに代えネルソンを投入するなど最後まで攻めの姿勢を貫いたアルテタでした。

アーセナルの課題

現状見て取れるアーセナルの課題は3つです。

スローイン

スローインからボール保持に繋げられないため、ここは要改善でしょう。これが改善できればボール保持の時間も増やせると思います。

・主導権を90分握れない

どうしても前半か後半どちらかでしか試合のペースを握れず苦しい展開になっているのが現状です。前からプレスをはめ、ボール保持ができている間は良いのですが、前からのプレスがはがされたり逆に前からプレスをはめられるとボールを持てなくなるのが課題です。引いて守る際には4-4-1-1で守るんですが、どうしても守り切れず崩されるというのが難点です。

・決定力

自分の時間帯で2点目がとれていればチェルシー戦もパレス戦も違った展開になっていたでしょう。

・戦術とは関係ないボヤキ

 なんでいいサッカーしているのにこうも運に見放されるんでしょうか...ボーンマス戦ではいい形だったのに先制されたり、チェルシー戦でも退場になるべきだったジョルジーニョに同点弾を決められたり、この試合もオーバメヤンの退場の判定は仕方なかったですが、パレスにはもっとイエロー出ててもおかしく無いようなファールもありましたし、10人になった後のペペのシュート、→ラカゼットのシュートとオブラクが憑依したかのようなスーパーセーブで阻まれたりとことん運に見放された感じでしたね。

・最後に

 今日は戦術無関係のボヤキまでお付き合いいただきありがとうございました。次回のシェフィールド・U戦のマッチレビューはお休みさせていただくか、更新できてもチェルシー戦の直前になってしまうと思います。なんでかって?テストとレポートがかなりやばいんです...次回はシェフィールド戦かチェルシー戦になります。

 あと、チェルシー戦やユナイテッド戦ほど手応えのある記事が書けないのが最近の悩みですね

【マッチレビュー】アーセナル対リーズ 奇人ビエルサの策とアルテタの対抗策

 そろそろ定期試験が迫ってきてテスト勉強やレポートに追われる辛い日々を迎える珈琲G党です。この戦術分析の記事は一つあたり2,000字を超えてもそんな苦労しないのになんでレポートの2,000字はあんなに遠いんでしょうね...という事で、FA杯3回戦の分析していきましょう!

・試合概要

(H)アーセナル1-0リーズf:id:coffee20001113:20200107131147j:plain

・得点

55分ネルソン1-0

・途中交代

アーセナル

67分マルティネッリinネルソンout 77分ウィロックinエジルout 91分サカinぺぺout

リーズ

60分ダラスinゴッツout 61分コスタinアリオスキout 78分スティーブンスinアイリングout

・奇人ビエルサのとった策f:id:coffee20001113:20200107132421j:plain

 1トップがCB間のコースを切りながら寄せてアーセナルの中盤3枚に対しては中盤3枚をマンマークにつけ両SBには両SHがしっかりつく形でビルドアップを阻害します。特に試合勘の欠如が見えるホールディングのパスがインターセプトされたりパスが通っても厳しいマークに遭いそこで失ってショートカウンターを浴びる形が多く結果前半だけで10本越えの被シュートとなりました。この際エジルにはアンカーがしっかり目を光らせエジルはなかなかボールを受けられません。この二段構えでアルテタアーセナルの攻撃を活性化させていたエジルを封じ、同時にビルドアップの阻害に成功します。また、ラカゼットにはCBのどちらかがダビドルイスが持ち上がる際にはバンフォードがマークに付きマーカーはかなり長い距離付いて行ってました。ここまでのマンマークをチーム単位でするのはそうありません。さすがは奇人ビエルサと言ったところでしょう。結果、前半のアーセナルは見事なまでに機能不全に陥ってしまいました。ですがアルテタはハーフタイムに修正をし、後半のアーセナルは息を吹き返します。

・アルテタの打開策

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 GKを経由したビルドアップでCBにかかるプレッシャーが軽減され、縦パスを通しやすくなった事で後半開始直後のダビドルイスの縦パスを降りてきたラカゼットがフリックし、ネルソンがスピードを活かしてドリブルで仕掛けたシーンはこの典型でしょう。惜しくも綺麗なフィニッシュとは行きませんでしたが、ここからアーセナルの時間が続きます。

・前への意識

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 アーセナルは後半に入ってから2つの前への意識を感じました。まず、後半に入ってからかなり前に圧力をかけて行きます。特に、ダブルボランチのジャカ、ゲンドゥージは前半のリーズの様に激しく行きます。結果、高い位置でのボール奪取に成功し、ポゼッションも高めていきます。

 2つ目の前への意識は前への持ち上がりです。ジャカ、ゲンドゥージ両名はこれまでの試合では低い位置でパスを散らし、起点になる役割でした。ですが、この後半は積極果敢に高い位置まで持ち上がり、チャンスに繋げていました。ジャカはバイタルエリアまで侵入し、そこで粘りFKを獲得するなど目立ち、ゲンドゥージは高い位置で奪いそのまま持ち上がりシュートを打ったり、エジル→ラカゼットのチャンスの起点にもなりました。この様にダブルボランチが高い位置を取ることで攻撃面では前線の孤立を防ぎ、守備面では高い位置でのプレスを可能にしました。

・2人目3人目の守備

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 前述のボランチのプレスに連動してエジルがコースを切りながら寄せ、WGもプレスをかけ、囲い込んで奪えていたようにチームのプレスとして機能していた印象でした。これに対してリーズは前半からマンマーク戦術で走り続けたツケがきたのか後半途中からは運動量が落ちてよりアーセナルのペースになりました。ここでアーセナルのチームのプレス戦術とリーズのマンマーク戦術の差としては、リーズは1対1で徹底して封じる形でアーセナルを封じ込めていましたが、これは運動量に限界があり90分持たないと思いますし実際この試合では運動量が維持できませんでした。対してアーセナルの守備戦術は後半からの修正ですので運動量が持つかの比較はできませんが、常に数的優位で守ろうとするため高い位置で奪える確率も高まり、奪った後も選手間の距離も近いからそこからのショートカウンターのクオリティも高まりますし、いい修正だったと言えます。データで見てもグエンドゥジ10回、ペペ8回のボール奪取を記録しているあたりからもこの修正の効き具合が見て取ります。

・攻撃の再現性

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 アーセナルの先制点のシーンはペペがハーフウェイライン付近で相手を背負ったところから前に進みサイドに流れたラカゼットに出して、ペペはエリア内に侵入しラカゼットのマイナスの折り返しが相手に当たりそれがネルソンに渡りこれを決め、決勝点でした。ユナイテッド戦の先制点やこの得点シーンのようなサイドを深くえぐったところからのマイナスの折り返しは再現性のあるゴールになっているのでこれは武器になると思います。ちなみにこのマイナスの折り返しはサイドに張ったところからダビドシルバやデブライネのニアゾーンランでマイナスの折り返しを入れ決めるシティの十八番でもあります。

 また、今のアーセナルの肝といえるのはいかにエジルが前を向いて高い位置で受けられるかだと思います。前半はビルドアップを阻害されエジルにボールも渡らず機能不全気味でしたが後半はここまで語った修正によりエジルが高い位置で前を向きそこから展開してアーセナルの攻撃をけん引していましたし、結果この日も両チームトップタイの4つのチャンスメイクを記録していました。

・最後に

 ここまで戦術的な分析をしてきましたが、この試合でかなり深刻だったのはホールディングでしょう。パスミスがかなり多く、パスミスとまでいかなくてもマークつかれてる味方に出して危なくなるシーンも散見されていました。おそらく試合勘の欠如が原因だと思いますのでここから改善して欲しいところです。

 この試合はアルテタの修正力がついに発揮されましたね。特に、選手交代をすることなくハーフタイムの仕込みだけでここまで改善できたのは流石の一言でした。

 ここまでありがとうございました。良ければ拡散してくれるとめっちゃうれしいです。そして、これから大学のテスト期間に入りテスト勉強やレポートに追われると思うのでこれからの三試合(クリパレ戦ブレイズ戦チェルシー戦)のマッチレビューは試合後すぐの更新できるかかなり不透明です。可能な限り更新したいと思ってますが無理だったらテスト終わった後にその三試合の総括みたいな感じの記事を出すかもしれません。

【マッチレビュー】アーセナル対マンチェスター・U アルテタ初勝利 前後半で異なるアプローチ

 過密日程のラストを飾るのはユナイテッドとの大一番。そろそろ内容に勝ち点が伴ってほしいところ。そんなこの試合を分析していきましょう!

・試合概要

(H)アーセナル2-0マンチェスター・U

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メンバー

・得点

8分二コラ・ペペ1-0

42分ソクラティス2-0

・途中交代

アーセナル

62分ネルソンinペペout 69分サカinコラシナツout 82分グエンドゥジinラカゼットout

マンチェスター・U

58分ぺレイラinリンガードout グリーンウッドinジェームズout 81分マタinマティッチout

・増えたビルドアップのパターン

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まずはボーンマス戦同様ジャカのエムレジャン化での左CBの位置に落ちてのビルドアップです。(このジャカのエムレジャン化は下記の記事を参照ください)

 

soccer-coffee20001113.hatenablog.com

 さて、少し脱線してしまいましたが、左サイドからのビルドアップはこういった形がメインのアーセナルでした。ですが先制点の起点はジャカが少し高い位置から出したパスでした。

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 ドリブルで持ち上がったコラシナツから外のオーバメヤンに預けた所からコラシナツが走り込み深い位置からマイナスの折り返しでこれがリンデルフに当たりペペの下に渡りペペが決めて先制弾。ボーンマス戦も崩しは良かったのですがクロスのクオリティがあれで決定機に繋がらなかったのですが、今節はそこのクオリティの改善が結果につながりました。

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 右サイドからビルドアップしていく際にはジャカは左CBの位置には落ちず、2-3のWのような形でボールを前に運びます。コラシナツは外に張り出しており個のビルドアップの外にいます。この際はジャカ、トレイラが右にスライドしナイルズはSBの位置からビルドアップに参加します。以前の4バックのままのビルドアップと違い5人でそれも配置のズレを生み出してのビルドアップですので、ユナイテッドのプレスを外すことができます。

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 ナイルズが高い位置まで持ち上がると、エジルがハーフスペースに侵入し、ペペが大外のレーン高い位置を取りナイルズも大外の位置でボールを持ちトライアングルが循環しながら良い距離感でボールを回せます。また、ルークショーはペペを見るためエジルが前を向きやすくなります。また、ペペがカットインしたりナイルズがオーバーラップしてきたりバリエーションもネルソンがスタメンの時より多い感じでした。また、エジルは左サイドと右サイドのリンクマンとしても機能していました。

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 2点目のCK獲得のシーンは特に左CBの位置のジャカからエジルへの長いパスにエジルのスルーパスにナイルズが反応して抜け出すといったいろんな要素が含まれています。ナイルズのクロスの上げ方が単調な気もしましたが結果としてCKを獲得し、ペペのCKをラカが頭で触りデヘアがはじいたものをソクラティスがゴール天井に突き刺すシュートで追加点を獲得します。

・前半総括

 前半はアーセナルが59%のポゼッションを記録し、自分たちが相手を動かしながら試合の主導権を握っていました。ボールロスト時もぺぺの守備意識も改善しており前線4枚がプレスをかけそこで奪いきるか、そこから蹴らせてトレイラを中心としたフィルターで回収し、ボール保持に繋げていました。

・ペースダウンした後半

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 後半はペースダウンし、ユナイテッドが主導権を握る形になり、最終的に後半のアーセナルのポゼッションは38%まで落ちました。ですが今シーズン「弱きを助け強きを挫く」ユナイテッドはボールを持たされると何もできません。ここにはチェルシーと同じで配置のズレで崩すという形を持ってないという課題があり、さらにはジョルジーニョのように攻撃に変化をつけられる選手がいないゆえに下位相手の取りこぼしが目立ちます(冷遇されるマタや心ここにあらずなポグバはそういったアイディアもあるんですがね・・・)。

 アーセナルは4-4-1-1で引いて守りラカゼットがサイドに追い詰めるようにプレスをかけてかけてかけまくっていました。両CBや時にSHが戻れない際のSBに対してもプレスをかけに行っていました。そしてエジルは中盤へのコースを切るように動いていました。そして両SBにはSHが基本的について行っていました。この時ルークショーが前半より高い位置を取るようになりペペが苦戦を強いられていた所にアルテタは守備意識の高いネルソンを投入します。これでルークショーを抑えようとしたのでしょう。ペペが苦戦してると見るや対応した手腕は普通に見事でした。

 アーセナルのピンチはマルシャルの個人での突破や途中出場のマタのパスからによる散発的なものでした。特にマルシャルの突破にはいささか手を焼いているような印象でした。このように個人での打開に対してどう対処するかはこれからの課題でしょう。マルシャルには悪いですが、プレミアにはマネやスターリングといったバケモノみたいなドリブラーがごろごろいますしそこの対処は必須でしょう。

・アクシデントの中での交代策

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 アーセナルは負傷明けのコラシナツがまた足首を痛めて交代し、交代枠が残り一つの状況でエジルは明らかに運動量が落ち、トレイラは足がつり、ラカゼットももう限界のような状況でトレイラはまだ動けるようでしたのでアルテタはラカゼットに代えグエンドゥジを投入し、エジルが前残りで0トップのような形で4-5-1の形で最終ラインは数的有利中盤は数的同数の状況で逃げ切りを図りました。そしてカウンターの際はエジルが持ちオーバメヤンとネルソンが追い越していく形で一つ惜しいシーンもありました。これは試合終盤エジルの運動量が落ちてきた際の一つの解決策になるかもしれません。

・最後に

 この試合では前節致命的なミスをしたレノが臆することなく飛び出してハイボールの処理をしたり最後にはマタからのアーリークロス気味のパスにラッシュフォードが抜け出したシーンでも前に出てセーブしクリーンシート達成に貢献しましたし、ダビドルイスもいい時の集中力を発揮し守備でも大きな貢献を見せていましたしソクラティスはまだ怖さや不安は感じるもののボールを持った際以前より億劫にならずにパスを出したり大胆な持ち上がりを見せていました。また、ソクラティスが上がったスペースをナイルズが絞って埋めたのは以前のアーセナルには見られなかった意識改革ですし、戦術面以外にもポジティブな要素であふれていました。

 ここまで読んでいただきありがとうございます。最近ではアクセス数急増したり引用RTで感想を言ってくださる方まででてきてモチベーション爆上がりですし、このブログは皆さんの拡散や口コミが力です!どうかこれからもよろしくお願いします。

#COYG #アーセナル