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珈琲G党のガナーズブログ

基本はアーセナルの試合や移籍ニュースについて語るブログです。たまにCLやラ・リーガ、プレミアの注目カードについて語ることもあります。サッカー変態です。

【マッチレビュー】アーセナル対オリンピアコス~天国から地獄へ~

 花粉症が本格化してきて目が毎日死にそうな中マッチレビューをお届けします。花粉症はつらいですね~...と、前置きはこの辺にして、悔しいです!

・試合概要

アーセナル(H)1-2オリンピアコス (2戦合計2-2)

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・得点

53分0-1シセ

113分オーバメヤン1-1

119分1-2エル・アラビ

・途中交代

アーセナル

72分トレイラinセバージョスout

84分ウィロックinベジェリンout

103分ソクラティスinムスタフィout

105分マルティネッリinラカゼットout

オリンピアコス

77分マソラスinランデロビッチout

86分ガスパルinヴァルブエナout

114分ロベラinツィミカスout

117分パパドプロスinギジェルメout

オリンピアコスの守り

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 オリンピアコスは初期配置4-3-3ですが、押し込まれた際には4-4-2になりますが、この時IHが飛び出して2トップを形成するのではなく3センターの中央のカマラがその役割を担い、前へのプレスもCFのエル・アラビよりカマラが積極的に走り回っている印象でした。

 また、WGが低い位置まで下がり、大外のレーンを埋めてSBが中に絞りブロックを固め4-4-2ですが6バックのような形になっていました。この試合のアーセナルの攻めはぺぺ、エジルを中心にいい攻めを展開していましたが、最後の精度を欠いてたため前半は崩しきれませんでした。この守り方はW杯のスペイン対イランのイランや18/19シーズンのシティ対レスターのレスター(たしか)も採用した方法で、戦術の浸透しきってなおかつ選手のクオリティも高いシティでも苦戦するものなのでアルテタアーセナルの苦戦は必然でしょう。

・セバージョスのダウンスリー

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 この試合セバージョスのダウンスリー(アンカー落ち)の形でのビルドアップが一つ特徴的でした。この形だとジャカがハーフスペースの高い位置を取りやすくなります。

 ジャカのスルーパスからサカのクロスにラカゼットが押し込んだ幻の先制弾(オフサイドで取り消し)やこの試合で多くあったジャカのアーリークロスはジャカの左足の精度は素晴らしいものがあるため相手にとって脅威ですし、ジャカが高い位置にいるとジャカ砲(ジャカのミドルシュート)の期待値も上がりますし、バーンリー戦でもジャカの高い位置での浮き球パスでチャンスを演出していましたし、必要な時ジャカが高い位置を取れるメカニズムは必要でしょう。

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・天国から地獄へ

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 エジルのクロスにマルティネッリが競ってこぼれ球をオーバメヤンのバイシクル弾で同点にし、2戦合計2-1の勝ち越しに成功しました。この試合両サイドからエジルがクロスを入れるシーンが多かったですし、このクロスもオーバメヤンの下にボールが来たのは運もありますが、マルティネッリへのクロス自体はピンポイントでしたし狙いは明確でしたし、なによりスコア上この同点弾は大きかったです。

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 その後CKからの流れでインスイングのクロスにエル・アラビがソクラティスの死角から抜け出し逆転弾を決めています。このシーンクロスが入る前にソクラティスがちらっと確認していましたが、ソクラティスの前にいた選手(たしかカマラ)はオフサイドポジションにいましたし、ダビドルイスがマークしていました。だからこそソクラティスはエル・アラビへ入るボールの対処に全力を傾けるべきでした。また、負傷交代でソクラティスに代わったムスタフィはこの試合含めここ数試合外から入ってくるボールのことごとくを弾き返す鉄壁ぶりを披露していただけに悔やまれました。

・最後に

 EL敗退したことでアーセナルはCL出場権確保するためにはプレミアリーグで4位フィニッシュがマストになりました。シティがFFP違反の処分によりにシーズンのUEFA主催大会出場停止処分を課されたため5位でも繰り上げ出場できる可能性もありますが、CASに上訴したため、処分が来季に先送りになる可能性もあるため確実にCL出場権を確保するなら4位フィニッシュが必要でしょう。ミッションインポッシブルとは言いませんが、難易度の高いミッションでしょう。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。感想、拡散はめっちゃうれしいですのでジャンジャンお願いします!次回はFA杯ポーツマス戦になる予定です。旅行行って帰ってきてからの更新になるので遅くなるかもしれませんがよろしくお願いします。

【マッチレビュー】アーセナル対エヴァートン~アルテタ監督古巣対決~

 前回の暫定監督同士のラストマッチ以来の再戦です。前回はアルテタ、アンチェロッティ両新監督が目を覆いたくなるような試合の末のスコアレスドローという今季でも5本指に入りそうな塩試合を展開しました。しかし、そこから両チームは新監督たちの素晴らしい手腕もあり上昇気流に乗ってこの対戦を迎えています。

 そんなアルテタ監督にとって古巣対決でもあるこの1戦を取り扱っていきましょう。

・試合概要

アーセナル(H)3-2エヴァートン

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・得点

1分0-1カルヴァート=ルイン

27分エンケティア1-1

33分オーバメヤン2-1

49分2-2リシャルリソン

46分オーバメヤン3-2

・途中交代

アーセナル

18分サカinこらしなつout 76分トレイラinセバージョスout 82分ゲンドゥージinエジルout

エヴァートン

59分アンドレ・ゴメスinシュネイデルout ベルナルジinイウォビout 82分キーンinデルフout

・開始早々の失点

 試合開始直後にエヴァートンが獲得したFK。蹴る前にコラシナツが小競り合いのような形でラインを下げてしまうという軽率なミスをしてしまいます。そして、このスペースを使われた所からカルヴァート=ルインに押し込まれ開始早々の失点を喫してしまいます。

・守備時のマイナーチェンジ

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 この試合アーセナルの守備時の並びが前節ニューカッスル戦からマイナーチェンジしています。正確には、オリンピアコス戦のやり方を継続している形です。守備時に以前は4-4-1-1のような形でエジルのタスクは中盤へのコースを切りながらサイドへ追い詰める役割で、ワントップの役割はCB間のコースを切りながらエジルと連動してサイドに追い詰めていく形で縦関係でした。それに対し、オリンピアコス戦や今節は横並びでCBに一人ずつプレスをかける4-4-2と呼んだ方が的確な並びでした。オリンピアコス戦にこの守備の仕方を見た時は運動量が売りのウィロックがトップ下に入ったカラ子の守り方を採用したものだと予想していただけに意外でした。

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 この守り方はワントップの負担を軽減することはできます。しかし、プレスがはまらなかった時に中央から崩されるリスクがあり、実際上の図のような形でボールを前に運ばれるシーンが多くありました。

・ビルドアップのマイナーチェンジ

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 今節は後方のビルドアップのひし形はいつもより大外に開いた形でした。こうすることで、相手のツートップが1人で2人見ることができない距離感になっているように感じました。また、右のムスタフィからハーフスペースのエジルへの縦パスのコースが確保され、左のジャカからはハーフスペースで最終ラインと駆け引きをするオーバメヤン、大外のレーンで高い位置にいるサカへのパスコースを確保できますし、大外のレーンからならドリブルで持ち上がってからパスを展開することも可能になります。

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 先制点もジャカが持ち上がったところから大外のサカへ通し、サカのクロスをエンケティアがワンタッチで押し込み同点にしました。このシーン右SBのシティべはハーフスペースのオーバメヤンを注視していました。結果、イウォビが後追いの形で下がりながら追う形になり、サカは易々クロスを挙げられる形になりました。

オーバメヤンをサイドに置く利点

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 逆転弾のシーンまずすごいのはダビドルイスのパスでしょう。相手の守備ブロックをもろとも無力化するこのパスでしょう。ですが、オーバメヤンのポジショニングも見事なものです。シティべの死角から上手く勢いに乗ってダビドルイスのパスに抜け出してピックフォードとの1対1を制し逆転に成功。

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 前半終了間際に追いつかれましたが、後半開始直後セバージョスが高い位置で引っ掛けて奪いそれをジャカが回収し、エジルへ。エジルからのパスを受けたぺぺからのクロスをオーバメヤンが頭で押し込んで再び勝ち越しに成功。このシーンだけではないのですが、セバージョスが守備時にしっかりフィルター役をこなせているのはセバージョスをこれからも起用する上で重要なポイントでしょう。

 しかし、すごいのはオーバメヤン。シティべと上手く距離を取ったところから少し勢いをつけてのヘッド。これはニューカッスル戦のゴールにも同じモノを感じます。このエリア内での強かさは流石の一言です。

 オーバメヤンが初期配置がサイドでも、そこから中に入っていけて、オーバメヤンが大外のレーンで仕掛ける仕事をやらなくていい仕組みを作れれば、相手の死角から入っていける回数が増える分ただワントップで使うより脅威になりえると思います。ただ、それができなかったのがエメリで、そこを作れたのがアルテタです。

 また、オーバメヤンは守備時はかなり献身的に走れるので、サカと連携しての守備や、ハーフスペースを埋める役割をこなすことができます。あとは、試合終了間際にアンドレ・ゴメスがイエローで止めたシーンのようにカウンターの起点としてかなり脅威になります。

・ゲンドゥージのタスク

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 エジルを下げゲンドゥージを投入し、4-1-4-1にシフトし、引いて守る時は4-5-1でブロックを築き守るアーセナルエヴァートンはかなり攻撃的な4-1-2-3にシフトしました。この試合、ゲンドゥージはかなり精力的に動きまわっていました。投入直後は空回りしないか不安でしたが、この猛烈なプレスにエンケティアが連動することで前から守備に行くときは4-4-2の形になりました。

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完璧なプレスのはめ方

 その真骨頂顔のシーン。GKまで戻したところにエンケティアとゲンドゥージが連携してコースを限定し、シグルズソンにパスを出させますが、これも狙い通り、ジャカが潰し、トレイラがこぼれ球を拾いエンケティアにパス、エンケティアがこれをシュート...惜しくもポストに嫌われてしまいまいたが一連の流れはかなりいいものでした。

 このシーン、エンケティアもミナへのコースを切りながら寄せていますし、ジャカ、トレイラがシグルズソンアンドレゴメスに目を光らせていましたが特筆すべきはゲンドゥージです。ホルゲート、アンドレゴメスへのコースを1人で切りながらGKにじりじり寄せていったことでシグルズソンが下りていかざるを得なくなったところジャカが後ろからガツンと当たる見事な一連のプレスです。いままでのゲンドゥージはなぜそこに?というようなプレスのかけ方や飛び出しが多かったのですが、この試合は後方へのコースをケアしながら寄せられてましたし、アルテタの仕込みでしょうか。

・浮き彫りな課題

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 2失点を喫したセットプレーなんかはずっと前から浮き彫りになっている課題ですが、ここではもう一つの課題・・・ロングボールでムスタフィとベジェリンのスペースに放り込まれたところからの個人での打開。前節ならサン=マクシマン、今節はリシャルリソンにいいようにやられていました。ムスタフィは外から入ってくるボールに対しての処理は今節もほぼパーフェクトと言っても過言ではありません。空中戦4回勝利クリアも7回記録と見事な対処を見せています。タックル成功数3回、地上戦勝利数も4回を記録し、見事なスタッツを残しています。ですが、やはりスピード不足は否めない感じで縦に突破を許したりズルズル下がってしまうシーンもありました。ベジェリンもサン=マクシマンに突破を許したとき同様縦に突破されると2人ともかなり苦しくなってしまうのが現状です。この点は前評判でスピード不足がささやかれるパブロ・マリにしても不安なところです。

・最後に

書ききれなかったけど、後半のレノのスーパーセーブ連発はやばいですね!としか言えないレベルでした。いつだってレノはアーセナルを救ってくれた、そしてこれからもそうだと信じてる!

 エヴァートンアンチェロッティを迎えてから内容、結果ともに改善しているのがわかる試合内容でした。お互いあの塩試合を展開していた所からよく持ち直しましたね。そして、アンドレ・ゴメス復帰おめでとう!

 さて、2020年無敗&公式戦3連勝でエヴァートンをかわし9位に浮上しました。先制された時はどうなるかと思いましたが、見事な逆転勝利でした。そして、この記事もここまで読んでいただきありがとうございました。感想、拡散等はモチベーションに直結します。感想の引用RTやリプ、あとはアクセス数を見て一喜一憂してますので、いつでもお待ちしています!次回はオリンピアコスとのELラウンド32の2ndレグになります。が、その次はなにやらシティ戦が未定になっているのでFA杯ポーツマス戦になるかもしれません。このシティ戦中止は何があったんでしょうか...ではまた、次回!

【マッチレビュー】アーセナル対オリンピアコス

 この記事を書く前にTACTICALista少し使ってみたけど想像以上に便利だしその内切り替えようかなって思い始めてる今日この頃皆さんおはこんばんにちわ。CLアトレティコリヴァプールアタランタバレンシアと2日続けて早起きして見たのにELアーセナルオリンピアコスは寝坊しました...というわけで分析して行きましょう。(今回はマッチレビューからの考察みたいな要素も入っております)

・試合概要

アーセナル1-0オリンピアコス(H)

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・得点

81分ラカゼット1-0

・途中交代

アーセナル

58分セバージョスinマルティネッリout 75分ぺぺinウィロックout 92分ナイルズinソクラティスout

オリンピアコス

65分フォルトゥニスinブチャラキスout 75分ロベラinマソラスout

・ラカゼットの負担軽減

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 いままではラカゼットがCB間のコースを切りながらサイドに追い込んでいき、トップ下に入るエジルが中盤へのコースを切る形で連動していました。この形はサイドに追い込み、プレスをはめるのにはいい形ですが、どうしてもラカゼットの負担が増えてしまいます。それに対して、この試合では右CBにラカゼットがプレスをかけ、左CBにはウィロックが直接プレスをかけに行ってました。サイドが逆になるシーンもありましたが、原則として片方のCBに対し2人のどちらかが寄せるともう1人は反対のCBを担当する形を取っていました。これにより、ラカゼットの負担が軽くなり、ゴール前でクオリティが発揮できるようになりました。

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 また、CBがワイドに開いてダウンスリーの形になる時はアンカーにラカゼットがついていき、CBにはWGがSBへのコースを切りながら抑えに行きました。

 途中出場のニューカッスル戦に、守備時のタスクが軽減されたこのオリンピアコス戦で2戦連続ゴールを記録できたのは偶然ではないでしょう。

・ジャカが下りる時と下りない時

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 この試合では後方のビルドアップのひし形は最終ラインが左にスライドしてゲンドゥージが頂点に位置取る形で組み立てており、また、この時ジャカはゲンドゥージより高い位置のハーフスペースに位置取りゲンドゥージからボールを引き出し前線に出せるポジショニングを取っていました。この時のサカのポジショニングは中盤位の高さの位置取りでした。

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それに対して、ジャカが左CBの位置に下りる形の際サカはWGの位置まで上がっているため、ジャカの左CB化はビルドアップを円滑に進める以外にリスク管理の意味合いも感じられます。

・ソクラティスが序列を下げた理由

 体調不良もありましたが、コンディションが上がってきてもムスタフィが起用され続けました。これはアルテタがCBに足元やパス出し能力を求めるため、そこがソクラティスはアルテタの求めるものがなかったのでしょう。特に前述のように後方のひし形のビルドアップの際ジャカが左CBにはいる時はダビドルイスが3バックの中央から縦パスでバンバン楔を入れたりしますが、左肩上がりの3バックになる際はムスタフィが3バックの中央にはいる時もダビドルイスほどではありませんが縦パスや対角線のパスをいれてきていました。ムスタフィの縦パスはカットされるシーンもありますが、縦パスを入れる勇気があるように感じます。ソクラティスはあ足元おぼつかないのもありますが、リスクを冒す勇気も欠けてるように感じました。

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先制点の起点もゴールキックをムスタフィが受けてハーフウェイライン付近まで持ち上がってからの対角線のパスをオーバメヤンに通し、そこからハーフスペースを駆け上がったサカに出し、そこからのクロスをラカゼットが押し込んでゴールを決めました。

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先制点

・まとめ

・最後に

 今回はなかなかどうして文量が少なくなってしまいました。いつものに見慣れてる人たちには物足りなく感じたかもしれません。週末のエヴァートン戦は普段の文量に戻ると思います。そんな今回でも良かったと感じたら拡散してくれるとうれしいですし、感想も待ってます!それでは次回はプレミアリーグアーセナルエヴァートンになります!

 

【マッチレビュー】アトレティコ・マドリー対リヴァプール~原点回帰のアトレティコ~

 皆さんおはこんばんにちわ。代表戦を除くとアーセナルの試合以外をマッチレビューするのは初めてですね。ついに再開したチャンピオンズリーグ。今回はそのラウンド16アトレティコリヴァプール 1stレグのマッチレビューをお届けします。

・試合概要

アトレティコ・マドリー(H)1-0リヴァプール

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・得点

4分 サウール1-0

・途中交代

アトレティコ

45分ジョレンテinレマルout 70分ビトーロinモラタout 77分コスタinコレアout

リヴァプール

45分オリギinマネout 72分チェンバレンinサラーout 80分ミルナーinヘンダーソンout

・原点回帰のアトレティコ

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 リヴァプールは4-3-3でなおかつSBが高い位置を取り、フィルミーノは状況次第で中盤に降り、マネ、サラーが内側に入っていく定番の形でした。対するアトレティコは直近2シーズンあたりからぽじしょなるプレーを志向し始めましたが、それがあまり上手く行っていないで今シーズンも取りこぼしが目立ち、遂には解任論まで出ている状況です。ですが、この試合ではポジショナルプレーなんてどこ吹く風、「これが俺たちのやり方だ!」と言わんばかりのアトレティコらしい強固な4-4-2のブロック守備と堅守速攻を披露し、セットプレーから先制点を挙げ1-0で逃げ切りました。

アトレティコの奇襲

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 しかし、先制するまではアトレティコはかなり前から圧力をかけていました。2トップ+2SHが4バックにプレスをはめに行き前へ蹴らせ、効果的なビルドアップをさせません。

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 そして、ゴールキックの流れからコレアが一気に持ち上がり、ヴルサリコがクロスを上げ、はじき返されたものを再びヴルサリコがヘッドで折り返し、それにロバートソンが対応するも、パスを受けたマネからヴルサリコがボール奪取。見事な奇襲を仕掛けます。

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 ここからサウールのサイドチェンジでロディにわたるとロディがクロスを入れます。個のクロスも惜しかったです。この後スローインからの流れでCKを獲得。そのCKをサウールが押し込んで先制に成功。

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前からのプレスで押し込んで長いボールを蹴らせ、ゴールキックに、そこから一気に仕掛け、ロストしても奪い返し、クロスを入れ、最終的にCKを獲得し、先制に成功。開始数分で見事奇襲に成功。

・SBへの対処法

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左:中盤のラインよりSBが高い位置 右:SBが中盤の前

 後方からSBへのパスコースはライン間にSBが位置取る際にはSHがコースを切りながら寄せていき、ボランチがカバーをする形を取り、中盤のラインより前でボールを受ける際には4-4のブロック全体がスライドし、スペースを与えさせません。こうして、リヴァプールの両SBは上手く機能しなくなりました。

・ハーフスペースの封鎖

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 いくらパスコースを切ったりスライドして寄せてもロバートソンの推進力で高い位置まで運べるシーンもありました。こうなると並みの4-4-2ではSBが釣り出されCBとの間のハーフスペースが空き、ピンチになります。ボランチやSHが下りるのが定石ですが、そうなると高い位置が空いてしまいます。しかし、アトレティコは、中盤にハーフスペースを塞ぐ役割を課しながらも前への寄せも怠らないことでどちらのスペースも空けません。こんな芸当は、アトレティコにしかできないでしょう。

 SBがつり出されたらハーフスペースに走りこむ選手に対してはSHかボランチのどちらかがついていき、もう1人はSBのサポートに回る形を取りました。

・チャレンジ&カバーの徹底

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 また、サイドでリヴァプールの選手が仕掛けてくるときには対面する選手(SBやSH)に加え、そこにサポートする選手(SHやボランチ)が入り、局面としてはほとんどのシーンで数的優位を維持しながら守っていました。

 個人的な印象としては局面もですが、チーム全体、ブロック全体でチャレンジ&カバーの徹底ができているからこそアトレティコの堅守は成り立っているのだとも思います。

・試合総括

 アトレティコはチーム全体としてかなり良いパフォーマンスを披露していました。危険なシーンはオブラクパスミスからゴールネットを揺らされたシーン(オフサイドでゴール取り消し)とダイクの背後から走りこんだサラーのヘッドのシーンと、マネ、フィルミーノ、サラーでエリア内の密集地帯を抜けられシュートまで持ち込まれたシーン等片手で数えるほどです。あとは、ロディのパフォーマンスが傑出していましたね。決定機の多くに関与していましたし2ndレグでも重要になってくるでしょう。

 あと、シメオネが観客を煽ってスタジアム全体が沸き上がるあれはすごかったですね。あれは一度現地で見てみたいものです。

・2ndレグへの展望

 この試合アトレティコアウェイゴールを与えずに終えることができたのは収穫でしょう、理想はもう1点あればよかったですし、ロディが絡んで決まってもおかしくない決定機が2つありましたが残念です。しかし、2ndレグにはこの試合途中出場したジエゴ・コスタがスタメンに名を連ねるでしょう。1stレグでも1本シュートを放っていました。コスタは独力でゴールにねじ込める力がありますし、リヴァプールにとっては厄介でしょう。また、トリッピアーとフェリックスは2ndレグに間に合うかは微妙なラインですが、この試合で時間の経過とともに良くなったヴルサリコとカウンターで存在感を発揮したコレアに途中出場で守備に存在感を発揮したビトーロもいますから何とかなるでしょう。それから、トマ・レマルとマルコス・ジョレンテは今日のパフォーマンスで見るならジョレンテの方がよいでしょう。

 リヴァプールアンフィールドで2点取らなければ勝ち抜けできません。また、アトレティコアンフィールドで1点でも許せば3点必要になり勝ち抜けのミッションは困難を極めるでしょう。守備陣を崩してもオブラクが固く閉ざすアトレティコゴールマウスリヴァプールはこじ開けることはできるのでしょうか。

 また、リヴァプールの不安要素としては、アンフィールドで何とかなるんじゃないかという雰囲気が漂っていることです。そしてそれが采配にも見え隠れしていました。マネはカードを貰っていたのでわかるのですし、チェンバレン投入も引いて守る相手にミドルが有効なので分かりますが、サラーを下げたのは予想外でした。

・最後に

今回は初めてアーセナル以外のチームのマッチレビューをしましたがいかがだったでしょうか。2ndレグもアトレティコリヴァプールのマッチレビューをするつもりですのでよろしくお願いします。今回はアトレティコの守備に焦点を置いて書いてみました。宣伝ツイートのRTや、この記事をツイートして拡散してくれるとめっちゃうれしいです。感想をくれるともっと嬉しいです。批評等も分析の向上に役立たせてもらいます。全部待ってます!では次回、また会いましょう!

【マッチレビュー】アーセナル対ニューカッスル~アーセナル版ファンタスティック4(仮)躍動~

 日曜日の25:30キックオフという事で翌日朝から1日バイトの予定でしたので見るか悩みましたがせっかくのウィンターブレイク明けなので期待値も上がりますしね?楽しみですしね?まぁ端的に言うと見ないって選択肢なんかなかったわけですよ。(案の定バイト中めっちゃ眠かったのは内緒ですが)というわけでそんなアーセナルの久し振りの大勝劇の分析をしていきましょう。

・試合概要

アーセナル(H)4-0ニューカッスル

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・得点

54分オーバメヤン1-0

57分ペペ2-0

90分エジル3-0

95分ラカゼット4-0

・途中交代

アーセナル

82分トレイラinセバージョスout 85分ラカゼットinエンケティアout 91分ウィロックinエジルout

ニューカッスル

74分ヘイデンinラザロout 75分リッチーinフェルナンデスout 83分シェアinクラークout

・セバージョスの役割

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 この試合も ジャカが3バックの一角になる形のビルドアップでその際はセバージョスが中央に位置取り後方はこのひし形を軸にビルドアップをしていく。ニューカッスルは5-4-1で引いて守るため、前からはめに来ることは多くなく、後方からセバージョスへのパスコースは容易に確保できた。また、最近ではジャカが高い位置に来る頻度も増えており、この試合ではさらに顕著だった。ジャカが高い位置にいる時はほかの誰かが3バックのどこかにおりている時か相手を押し込んでいる時のどちらかだ。前者は前の試合ならベジェリン右CB時、この試合ならセバージョスがCB間に降りた時だ。

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 このように、セバージョスが最終ラインまで降りてきて左右、特に右に斜めのパスを通していました。これが後方でのビルドアップ。そして、敵陣に侵入すると相手は5-4のブロックを築き守ろうとしてきます。そんな中アーセナルは押し込む際にはダブルボランチは横並びになり、そのサイドに両SBが上がってきます。

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 この時ジャカとセバージョスはそれぞれ素晴らしい左足と右足を持っており、押し込んだところからどう崩すかのところで一つ飛ばしのパスが活きてきました。特に、セバージョスがそれを狙っている印象が強かったです。

 それから、セバージョスにはもう一つ重要なタスクがありました。それはエジルを探すことです。エジルはことボールの受け方においては天才的ですし、パスセンスも天下一品です。ですがそれゆえに、それに頼り過ぎるとエジルは降りてき過ぎてしまい、一番エジルが輝くバイタルエリアで力を発揮できなくなります。アルテタが監督になりビルドアップが整理されたことにより高い位置でボールを受けられるようになりました。しかし、試合を通じて基本は右のハーフスペースでのみの仕事になりがちなのと、ラカゼットが下りてきてポストプレーをしたりしてエジルが上手く前を向けるようになっていましたがそれだと今度は受け手が減ってしまいます。しかし、セバージョスがここに入ると後方からのビルドアップでしっかりエジルに届けるため、前線の人数は残せます。それにセバージョスは自分で持ち上がることもできますので、相手はエジルへのコースばかり気にしてはいられません。

 セバージョスはトップ下に置くと受けたがって降りてくる場面が目立ちますが、その短所を上手く補いつつエジルも活かす見事な起用法だと言えます。しかし完全無欠な布陣かと言われたらそうではありません。セバージョスは献身的にプレスをかけられるため前からプレスをはめる際には一役買えるのですが、単純なボール奪取力などはトレイラには劣りますし、チームが押し込まれると厳しいです。ですので、押し込める相手ならセバージョスがファーストチョイスでもいいでしょうが、格上相手にはおそらくトレイラでしょう。

・前後半の違い

前半と後半では一見些細なことですがかなり重要な違いがあります。サカのポジショニングです。さらに正確に言うと、サカとオーバメヤンの位置関係です。オーバメヤンをサイドで起用するうえでサカの存在が重要なのは前回の記事で語ってるのでそちらを参照にしてください。

 

soccer-coffee20001113.hatenablog.com

  ここからは前後半どう違うのかに触れていきます。

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左:前半 右:後半

違う時間帯もありましたが概ねこのような立ち位置の時間帯が多かったです。前半でもチャンスのシーンでは後半と同じような立ち位置になっていました。前半の配置は何がまずいかといいますと、縦関係での連携も悪くはありませんが、結局それではオーバメヤンが仕掛け役をやることになってしまうことです。それが後半になると、サカとオーバメヤンの関係性は縦というより横になり、サカは縦や内側に仕掛け、オーバメヤンはエリア内に入っていくことができました。

エジル復活の要因

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左:ニューカッスル戦 右:バーンリー戦 (データ:SofaScore)

 バーンリー戦までの試合では基本右のハーフスペースやワイドレーンの低い位置(ブレイズ戦のみ左サイド)でWGやSBとトライアングルを作りながらゲームの組み立てにも注力していましたが、セバージョスが出場したことにより、ライン間での仕事に集中できるようになりました。それにより、今節ではキーパス4本に1ゴールとより得点に直結した働きができていました。セバージョスやエンケティアと言ったエジルとプレービジョンが共有できる選手が入った事もですが、エジル自身の変化ないしはアルテタからの指示によるエジルの動きの変化が大きいでしょう。

 この試合でエジルはヒートマップで分かる通り攻撃時はライン間で縦横無尽に様々な場所に顔を出しています。また、自分でドリブルで運ぶシーンやターンでかわすシーンがかなり増えた印象でした。自分でも仕掛けると相手に印象付ければより長いパスは活きてきますからね。

 また、同様にペペも今節では見違える姿を見せてくれました。守備にも献身的に走り、4点目のアシストをしたシーンのように的確な走り込みをしたりとアルテタが意識の改革をしたのでしょう。ここまで明らかに改善しているとなるとドバイでのキャンプは素晴らしいものだったのでしょう。

・課題

 大勝劇なのは間違いありませんが課題もありました。アルミロン、マクシマンの両翼のドリブルからのロングカウンターには手を焼いていました。特にアーセナルの右サイド側つまりマクシマンには苦戦を強いられていました。対面したベジェリンは何度か縦に完璧に振り切られていました。あまり、ベジェリンを悪く言いたくありませんが、この出来だったらパレス戦でトレイラの協力があったとはいえ、ザハにほとんど仕事をさせなかったナイルズを見たかったです。ベジェリンは内外のオーバーラップとその走力は武器ですし、最近ではハーフスペースを駆け上がるシーンも多く精度が上がれば期待できます。

・おまけ(得点シーン解説)

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 ペペのクロスにオーバメヤンのヘッド。オーバメヤンは上手く相手に体を先にぶつけてからヘッドで決めました。

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 ショートコーナーの流れからサカが左サイドで受け、2人に囲まれるもなんと2人同時に置き去りにしてからペペへパス。これをペペが決め追加点。このドリブルはティアニーにもコラシナツにもないサカの武器です。

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 最終的に11人35本のパスをつないだ末のエジルのゴール。ドリブルで持ち上がりぺぺへのパスをした後エジルはよく走りこみました。また、ペペも相手がカットインからのシュートを想定していただろうとこで上手くラカゼットにパスを出しました。

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 ウィロックとぺぺのパス交換からぺぺがラカゼットのゴールをアシスト。この連携自然にやってますがウィロックのマーカーはどっちに行くか迷いますし良い連携でした。

 以上今日の4ゴールの解説でした。アーセナル版ファンタスティック4のPOLA(それともNMAP?)そろい踏みは最高でしたね。

・最後に

 シティのFFP違反による2年間CL出場停止は驚きでしたね。しかし、5位でもCL出れるなら一気に射程圏内になりますね。年明けてから常々今シーズン5位は気づいたら到達してるけど、4位になるとチェルシーの躓き方次第と思ってましたが、一気に希望が見えてきましたね。

 ELのアーセナルの試合のマッチレビューはもちろんしますが、CLも1試合か2試合くらいやりたいなと思ってます。この記事を拡散してくれたらうれしいですし、感想はモチベーションに直結しますのでお待ちしてます。反論等も受けとめますのでお待ちしています。それではまた次回!

【考察】~アルテタアーセナルに見るサイドバックの重要性~

 ウィンターブレイク企画第2弾!

~アルテタアーセナルに見るサイドバックの重要性~

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 かつてはブラジル代表のロべカル、カフーに始まり、バルセロナジョルディ・アルバ、D.アウべス、レアルのマルセロとカルバハル、リヴァプールのロバートソンとトレント・アレクサンダー=アーノルド、他にもバイエルンのアラバとキミッヒとチーム内で小さくないどころか重要な役割をサイドバックを担っています!...こんな感じの書き出しでいいですか?というわけで本題に入っていきましょう。アルテタアーセナルにおいてサイドバックがどのような役割を担っているのか書いていきましょう。

・高い位置ワイドレーンの左と低い位置ハーフレーンの右

 全体的には左SBが高い位置でワイドレーンに位置取りそれによりオーバメヤンが中に入っていくのを手助けし、右SBは低い位置でビルドアップを助けるのがメインのタスクになっています。

・右サイドバック

メイトランド=ナイルズ

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 アルテタがアーセナルの監督に就任してからジャカの左CB化と並んで最初にビルドアップのてこ入れをした個所がこの右SBのポジションです。前任者たち(エメリ、ユングベリ)はサイドバックには大外のポジショニングを取らせていましたが、高い位置を取り切れずにいたため、ビルドアップの際追い詰められた終点の駅のようになっていました。ですが、アルテタが就任し、ナイルズが偽SBのように内側に絞ることでビルドアップの要になっていました。相手からのプレスをかわしつつ、前線へのパスコースを増やすことに成功しました。また、ハーフスペースに降りるエジル、ワイドレーンに張り出したぺぺとトライアングルを形成し、効率的にボールを前に運べるようになりました。

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 守備面では偽SBの位置を取り中に絞ることでネガトラ時に危険な中央のコースを切ったり受け手をマークすることができます。また、ボーンマス戦のように中に絞った位置から前プレス隊に加わることで高い位置でボールを奪いやすくなるのと、トレイラの役割が明確になり、トレイラの良さも活きるようになりました。エメリ政権末期はトレイラのカバーしなきゃいけない範囲が広すぎてネガトラが全くと言っていいほど機能していませんでしたがそれを改善しました。

エクトル・ベジェリン

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 ナイルズはビルドアップ時には偽SBの役割でビルドアップに貢献していましたが、ベジェリンが右SBの際は布陣全体が左肩上がりになりベジェリンが右CBに入るやり方で、実際にバーンリー戦でやっていました。この布陣にすると3-2のビルドアップで配置の優位を作り、相手の前プレスをはがしやすいのと、ハーフスペースにずれてくるエジルへのパスコースを通せば、相手の前プレスの裏でエジルが前を向けるメリットがあります。

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 守備時にはナイルズの偽SBの際の守備と同様になかに絞ることで相手のカウンターの際危険な中央のレーンを封鎖することができます。偽SBとの相違点としては、偽SBではより前がかりな守備ができるのに対し、最終ラインに加わることでパスが出た先で守備ができるのはメリットでしょう。被カウンター時前からのプレスがかわされた際前進してくる相手のアタッカーを待ち構えることができるので、CBがつり出されて中のスペースが空き、使われるというシチュエーションが減らせます。

・左サイドバック

ブカヨ・サカ

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 疑似WGとでも言うべきかサカのこなす役割。初期配置が4-2-3-1の今のアーセナルではオーバメヤンがサイドに初期配置されており、一見するとオーバメヤンにあった役割を与えられてないように見えます。実際エメリが左WGでユングベリが右WGで起用した際はオーバメヤンの適性のある役割を与えられていませんでした。サイドに張り出してクロスを上げる役割をやらされていました。しかし、アルテタは一味違いました。SBに高い位置を取らせ、オーバメヤンがハーフスペースに侵入し、そこから裏を狙う動きをすることでオーバメヤンのストライカー的な役割を任せていました。

 詳しく解説すると、サカがワイドレーンの高い位置にポジションをとることでオーバメヤンは疑似的にラカゼットとの2トップの位置関係を作れ、各々が持ち味を発揮できる配置になっています。そして、本来1列前のポジションが本職のサカは足元の技術も高い水準ですので、高い位置で受けたとこで1人2人はがせるのもメリットです。バーンリー戦で1人かわして2人目のファールを誘ったシーンなんかは技術の高さを象徴しています。

 また、この布陣で左サイドのリスク管理はジャカが左CBの位置に降りることでサカの空けたスペースを埋め、右サイドでいう所のナイルズやベジェリンの役割を担っているため、上がったスペースが穴になりにくくなっています。

セアド・コラシナツ&キーラン・ティアニー

 負傷の影響もありコラシナツはリーグ戦2試合、FA杯1試合の出場にとどまっているので軽い解説にとどめておきます。

 コラシナツの主な役割はオーバメヤンが中に絞った裏を駆け上がりロングフィードを引き出すこととハーフスペースを駆け上がり、マイナスクロスを提供することです。

 ティアニーは負傷離脱によりアルテタ政権下ではいまだ出場がありませんので軽い予測をします。

 ティアニーに求められるのはサカのポジショニングからさらに高精度のクロスの提供でしょう。

・最後に

 アルテタアーセナルでのSBの役割は自身が輝くのもそうですが周りの力も同時に最大限引き出すことができるというのが大きなところでしょう。そして、コラシナツとティアニー...ごめんなさい。データが少なくいい感じの分析、考察ができなかったので今後いつかこの2人についてもやりたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。今回は左SBも右SBも1人目にテンション全振りしたみたいの文面になってしまいました、終始同じ熱量で書くのって難しいですね。それでも、良かったとかわかりやすかったとか感じてくれる方がいたら幸いです。拡散してくれたらうれしいですし、感想等はモチベーションに直結しますのでガンガンください。次はニューカッスル戦のマッチレビューでお会いしましょう(中の人がバイトの過密日程で大変なことになってる可能性大ですが記事は書きますので楽しみにしていてください)。

【考察】~ラカゼット不要論を斬る~

ウィンターブレイク企画第一弾!ラカゼット不要論を斬る

 今回は試合のないウィンターブレイク期間という事でいつものマッチレビューとは違う方向性で書いていきます。我ながら危ない橋を渡るようなタイトル付けたなぁと思いますね(笑)どうやら海外グーナー含め一部でラカゼット不要論が出てるらしい(らしいですからね!?)まぁ、具体的な内容はラカゼットのアルテタアーセナルでの役割と重要性、いないとどんな状況に陥るのかについて書きます。

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・ラカゼットの作るスペース

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 ラカゼットが下りてきてスペースを空け、後方からのパスを引き出すと同時にWGが斜めに走りこむスペースを提供しています。いわば、RマドリードベンゼマBBCの中でやっていた役割とフィルミーノが焼ていた役割を折衷したような形です。

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左:クリスタルパレス戦 右:リーズ戦

 この形で得点やチャンスになったシーンの具体例としてはクリスタル・パレス戦のオーバメヤンのゴールとリーズ戦の決定機です。

 パレス戦ではエジルがダビドルイスからの縦パスを引き出し、ワンタッチで繋ぎ、それを降りてきたラカゼットが裏へ抜け出したオーバメヤンにスルーパスを送り、難なく決め先制したシーンです。位置関係はベンゼマとCR7を彷彿とさせるようなゴールでした。リーズ戦では降りてきたラカゼットが直接フリックしてネルソンへのパスを通してます。

 これらのシーンでは、ラカゼットが下りてきてWGが走りこむことで相手のCBはついていくのか、スペースを守るのかの二択を迫られます。ここでついていけばラカゼットがシンプルにエジルに落として、エジルが空いたスペースに走りこむWGにパスを通し、決定機に繋がるでしょう。逆についていかない場合ラカゼットが前にパスを通しやすくなります。この時、相手の最終ラインはレーンをまたぐ走り込みをするWGにSBがついていくのかCBにマークを引き継ぐのかの判断が必要になります。このズレを生かしたチャンスの創出が攻撃面でのラカゼットの貢献です。

・ラカゼットの守備貢献

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 アーセナルの前からのプレスは基本的にラカゼットがスイッチになっています。ラカゼットがCBを切りながらボールホルダーのCBに寄せると、それに連動してエジルは中盤へのコースを切りながら寄せていきサイドに追いやります。そして、ペペがSBに、ベジェリンはSHに、トレイラは相手のボランチにと言った形(相手が4-3-3の場合エジルがACへのコースを切りながら寄せ、トレイラがIHにベジェリンがWGにしっかりつきます)で出しどころを封じます。ここにパスを出せばそこで奪いますし、アバウトなロングボールを蹴りこんできた場合も後方で回収できます。

・仮にラカゼットがいないとどうなる?

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 仮にラカゼットを外したら3トップは左からマルティネッリ、オーバメヤン、ぺぺの並びになるでしょう。こうすると中央のライン間で受ける選手がエジル1人になり、近い距離感での連携が取れません。そうなると、エジルが上手くライン間でボールを引き出せても対応されやすくなるでしょう。それから、オーバメヤンとマルティネッリは2人ともスピードを生かした裏への飛び出しは武器です。ですがラカゼットが下りていくときのような配置のズレを生み出せる選手がいないと相手は何とかして裏へのスペースをつぶしたりすることに注力できるので対応できてしまいます。エジルオーバメヤン、マルティネッリの力量的にそれでもある程度のチャンスは作れるでしょうが、散発的で偶発的なものになり、再現性は低いでしょう。それから、引き出しが少ないと、エメリ政権末期のような単調な攻めに終始するでしょう。

・最後に

 ここまででラカゼットがチームの戦術や他の選手にとってどれだけ重要な選手か書きました。ですが、その一方でバーンリーセンのように決定機に顔を出しているのですが、ゴール前でのクオリティでスランプに陥っているようにも感じるのもまた事実です。こういう時はゴールが一番の薬になると思いますし、このウィンターブレイクで心身共にリフレッシュして、ニューカッスル戦でゴールを奪うラカゼットの姿を見せてほしい所ですね。かのファン・ニステルローイも「ゴールはケチャップみたいなもの」と当時Rマドリードに所属していたイグアインが不調だった際こうアドバイスし、その後イグアインは復調を果たしています。

 ゴールはケチャップみたいなもの

ゴールできない時はできないが、できる時はケチャップがドバっと出るようにゴールを量産できることの意。スールシャールもサンチェスがゴール欠乏症に陥った際に同じような励まし方をしていましたし、ファンの間でもゴールを量産した際「ケチャドバ」と表現することもありますし、日本では昔、ケイスケホンダも似た言い回しをしていました。このように、そこそこ流通している表現ですね。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。今回の記事は普段のマッチレビューとは違う形式でしたがどうだったでしょうか。今後もこの形式は代表ウィークやオフシーズンにも書くネタが合ったらやってみようかなと思っています。あと、このウィンターブレイク中にもう1本上げるつもりではいます。皆さんの拡散、感想、意見等はモチベーションに直結しますのでしてくれるとうれしいです。